もう一人の自分
50歳、自分は100歳まで生きるつもりなので、ちょうど半分の年齢に
なった。 50年を振り返ってみると、さまざまな思い出がある。
その中でも、いまだに自分でも理解できないのが、もう一人の自分がいる
気がすることだ。
もう一人の自分の出現
かれこれ、36年前。中学1年生の2学期、数学の時間のことだった。
いつものように、板書をしていると、ふっと、夢の中にいるような気に
なった。
「貧血でもおきたか」「なんか倒れそうな気がする」など得体のしれない
恐怖が襲ってきたことを36年たった今でも鮮明に覚えている。その時は、
授業が終わり、友達と遊んでいるうちにもとに戻ったが、
それから、ちょくちょく同じ経験をすることになる。しかし、その都度、
元に戻っていたので、思春期特有のなんか変な感じのするものなのだろう
と、あまり、気にしていなかった。
支配し続けるもう一人の自分
中学2年生になり、もう一人の自分が現れたり、消えたりすることに慣れて
きたころ。遠足の日をむかえた。学校へ行く途中またもう一人の自分が
現れた。
いつも自然にもとに戻ることを待っていたが、楽しい遠足の前ということも
あり、心の中は早くもとの自分に戻ってくれという気持ちでいっぱいだった。
学校に到着し、みんなが揃うのを待っている時間があったが、いっこうに
元に戻る気配はない。焦りもあったがどうにもならないので、とりあえず、
遠足に行って、楽しく遊んだり、弁当を食べたりすれば治るだろうと思って
いた。
が、しかし、その日に限って、元の自分は帰ってこない。家に帰っても、
もう一人の自分が居座ったままだった。頭に血が足りないのではなどど
しょうもないことを考え、逆立ちなどしたが、ダメだった。
結局、今現在も本当の自分が戻ってこないままだ。